リスティング広告を運用している運用担当者の方や、ウェブマーケティング担当の方ですと、ついつい自分の広告の掲載順位が気になってしまうかと思います。
リスティング広告の掲載順位が入札単価によって決定されていると知っている方でも、広告ランクの仕組みについては、いまいちわからないという方も多くいるのではないでしょうか。
リスティング広告の掲載順位をコントロールするためには、この《広告ランク》というものが非常に重要になってきます。広告ランクの仕組みを理解することで、掲載順位だけでなく、クリック単価を改善していくこともできますので、是非参考にしていただければと思います。
【目次】
①広告ランクとは
ご存知の方も多いかと思いますが、リスティング広告の掲載順位はオークションによって決定されています。しかし、一般的なオークションとは少し異なり、リスティング広告のオークションでは入札単価だけで掲載順位が決定されているわけではありません。リスティング広告のオークションでは、《広告ランク》が決定され、その広告ランクが高い広告から順に上位の広告枠に掲載されていきます。
つまり、リスティング広告の掲載順位は《広告ランク》によって決定されているのです。では、その広告ランクとはどのように決定されているのでしょうか。
広告ランクとは下記のような式で算出されています。
【式】
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質
※実は、広告ランクを決定する具体的な要素は、すべてが公開されているわけではなく、媒体社によるブラックボックスな部分が少なからず存在しています。Google広告では、上記の要素の他にも、検索を行っているユーザーに関する情報や広告表示オプションの有無などが加味されています。
入札単価とは、広告主が広告の1クリックあたりに支払っても良いと考える、クリックの単価のことです。リスティング広告では、この広告1クリックあたりの単価を入札単価として入札します。
広告の品質とは、かなりあいまいな表現ですが、その広告が、検索ユーザーにとって有益なものかを評価する指標になります。広告の品質は、広告ランクを決定する重要な要素です。
次の段落では、広告の品質とは何なのかを詳しく見ていきたいと思います。
②広告ランクで重要な《広告の品質》とは何か
広告の品質とは、キーワードの《品質スコア》として広告アカウントの管理画面上で確認することが出来ます。品質スコアはいくつかの要素によって決定されています。
品質スコアを決定する要素
・推定クリック率
推定クリック率は、過去の表示回数とクリック数をもとに算出されています。推定クリック率には、そのほか広告表示オプションの設定有無なども加味されます。これは広告表示オプションが設定されている広告のクリック率が高くなるというデータに基づいているものです。
クリック率の高い広告は、この推定クリック率の数値も高くなるので、結果的に広告の品質スコアが高くなります。
・広告と検索内容の関連性
広告の関連性では、広告の内容と検索語句との関連性が見られています。ただし、広告テキスト内の語句と検索語句という文字情報だけではなく、ユーザーの属性や検索に至った背景(※Google広告ではコンテクストと呼ばれています。)も加味されています。このコンテクストでは、時間帯や検索時の位置情報、デバイス情報などが考慮されています。
また、Google広告では、同じページに表示される他の広告や検索結果も加味されるとされています。
(※つまり、検索語句と広告文のテキストの内容だけで、関連性が高かったとしても、あまりにも業界を飛び越えて奇をてらったような広告は、広告ランクに影響があるということのようです。)
・リンク先となるランディングページとの品質
リンク先のランディングページの品質では、検索語句とページとの関連性の他にも、サイトの操作性や情報の透明性なども見ています。
※経験上、これは、直接のリンク先となるランディングページの情報のみだけでなく、サイト全体としてみているようです。
品質スコアを決定する要素には、上記のようなものがあります。品質スコアを決定する要素を一つずつ改善していくことで、広告の品質そのものを改善していくことが出来ます。ただし、注意しなければならないのは、この品質スコアがそのまま、広告ランクの算出に使われているわけではありません。あくまでも品質スコアとはこれらの要素を数値化しただけのものであり、参考数値にすぎません。広告の品質を確認するための指標として活用するようにしましょう。
③《 広告の品質 》を改善するとどうなる?
冒頭で見てきましたように、広告の掲載順位を決定する《広告ランク》とは下記のような式で算出されています。
【式】
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質
ここでは、分かり易くするために、広告の品質=品質スコアとしてみていきたいと思います。例えば、3つの広告主の広告があったとします。
【ケースi】
A社 入札単価: 90円 品質スコア: 5 広告ランク(入札単価×品質スコア):450
B社 入札単価: 60円 品質スコア: 5 広告ランク(入札単価×品質スコア):300
C社 入札単価: 40円 品質スコア: 5 広告ランク(入札単価×品質スコア):200
広告の掲載順位は広告ランクの高い順から、高い掲載順位を割り振られていきます。ですので、この【ケースi】では
1位:A社
2位:B社
3位:C社
という順に広告が掲載されます。
ケースiの場合、品質スコアは各社同じなので、単純に入札単価が高い方の広告ランクが高くなっています。
では、次の場合はどうでしょうか。
【ケースii】
A社 入札単価: 90円 品質スコア: 5 広告ランク(入札単価×品質スコア):450
B社 入札単価: 60円 品質スコア: 8 広告ランク(入札単価×品質スコア):480
C社 入札単価: 40円 品質スコア: 8 広告ランク(入札単価×品質スコア):320
B社の品質スコアが改善されたことにより、広告ランクがA社よりも高くなっています。ですので、この【ケースii】では
1位:B社
2位:A社
3位:C社
という順に広告が掲載されます。注目すべきはB社の入札単価がA社よりも低いという点です。
つまり、品質スコアを改善することで、競合の入札単価よりも低い価格で、入札をすることが出来るようになるので、クリック単価を改善し、広告の費用対効果を高めることが出来るようになるのです。
※実際に支払うクリック単価は、一つ下の広告ランクを上回るために最低限必要な価格を支払います。
⇒実際に支払うクリック単価について、もっと詳しく知りたい方はコチラを参照ください。
リスティング広告のクリック単価(CPC)はどう決まっているの?
④まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はリスティング広告の掲載順位を決定する際の《広告ランク》についてまとめさせていただきました。広告ランクの仕組みはすべてが媒体社から開示されているわけではなく、ブラックボックスな部分が残されてはいますが、開示されている情報だけでも理解することで、十分に競合他社よりも優位に戦うことが出来るようになります。
媒体社の考え方としては、広告といえども検索結果画面に表示させる以上、その品質が重要と考えています。その為、検索ユーザーが求めていない情報や検索ユーザーにとって利便性の悪いサイトなどは、その品質の悪さにより排除されて当然ということになります。
リスティング広告を配信する際は、入札単価だけでなく、この広告ランクや広告の品質という仕組みを理解し、是非、競合他社よりも優位に広告配信をすることを考えてみてください。
リスティング広告についてご不明な点等ございましたら、是非ご相談いただければと思います。