リスティング広告でブランド名などの指名検索キーワードをどうすべきか

リスティング広告を運用されている運用担当者の方であれば、インハウスで運用している方でも、もしくは広告代理店でクライアントの広告運用をしている方でも、必ずといっていいほど直面するのがこの問題ではないでしょうか。

「自社名やブランド名の指名検索のキーワードをどう扱うべきか」

恐らく、インハウスで運用されているのであれば、実際に広告運用していない上司の方、広告代理店で運用していれば、クライアントの担当者の方から、

「自社名はリスティング広告を出す意味がありますか?」
「自然検索で1位表示の指名検索のキーワードは入札する必要がありますか?」

というような趣旨の質問を受けたこともあるかと思います。このコラムでは、そんな指名検索のキーワードの扱いについて悩まれている方のために、リスティング広告で指名系キーワードをどのように扱うべきかをまとめてみました。是非参考にしていただければと思います。

【目次】

  1. 指名検索のキーワードの特徴はCTRやCVRが高いこと
  2. 指名検索のキーワードを出すことのメリット
    • 競合他社への流出を防ぐ
    • 掲載面を拡大することが出来る
    • リンク先のURLを指定できる
  3. リスティング広告で指名検索キーワードを出さないほうがいい場合
    • 事業が多岐にわたりサービスが1つではない場合
  4. 指名検索キーワードの配信で気を付けなければいけないこと
    • 社内スタッフのクリック
    • 指名検索キーワードを他のキャンペーンでの除外
  5. まとめ

①指名検索キーワードの特徴はCTRやCVRが高いこと

指名検索キーワードとは、社名やサービス名、ブランド名など特定の企業やサービスを指す言葉です(※これらのブランドを特定するキーワードを全てまとめて《指名系キーワード》と呼ぶことにしましょう)。指名系キーワードで検索するユーザーは、既にその企業やサービスを特定して検索しているため、目的意識がハッキリとしています。

その為、社名やサービス名を含まない一般的なキーワードから、流入してくるユーザーに比べ、費用対効果は良くなる傾向にあります。

指名系キーワードの効果は、企業やサービスの認知度によって全く異なりますが、一般的なキーワードと比べクリック率(CTR)は5倍~10倍以上、コンバージョン率(CVR)は3倍~5倍くらいの効果があります。一方で、広告の表示回数で比べた場合は一般的なキーワードでの表示回数の方が多くなる傾向になります。

ただし、指名系キーワードの効果は、ユーザーへの認知度に強く依存しています。全国区で知られているような企業の指名系キーワードの場合と、設立したばかりの企業や新たに始めたサービスのブランド名など、市場での認知度が全くない場合では、同じ指名系キーワードでも効果が全く違いますので注意が必要です。

②指名検索キーワードを出すことのメリット

リスティング広告において、指名系キーワードの扱いが問題になる場合は、

「その配信費用が無駄になっているのではないか」
「指名系キーワードで検索しているのだから、リスティング広告を出さなくても、
そのユーザーはコンバージョンしてくれるのではないか」

という考え方が根本にあるのかと思います。

リスティング広告で指名系キーワードを出すことのメリットには下記のようなものがあります。

◆競合他社への流出を防ぐ

指名系キーワードでは、競合他社がリスティング広告を出稿している場合があります。競合による広告掲載は、競合が意図的に競合の企業名やブランド名などのキーワードをいれて運用している場合もありますが、一般的なキーワードの部分一致が拡張して、機械的に広告出稿されている場合もあります。

どちらにせよ、せっかく自社を指名して、ユーザーが検索しているのに、競合に掲載面を取られてしまう場合、良質なユーザーを競合に取られてしまう可能性があります。

このような場合、指名系キーワードでも広告を掲載しておくことで、競合他社へのユーザーの流出を防ぐことが出来ます。

◆掲載面を拡大することが出来る

リスティング広告を出稿することで、自社の情報の掲載面を拡大することが出来ます。

検索エンジンのアルゴリズムでは、一つの検索キーワードに対しての検索結果に表示できる、同一ドメインのページの数が決まっています。これは、たとえ自社名の指名検索であったとしても同じです。

自然検索結果の1ページには通常10ページ分の検索結果が表示されますが、そのすべてが自社のドメインのページになるということはありません。

リスティング広告を掲載することで、検索結果ページ(SERPs)での掲載面を増やすことが出来ます。

◆リンク先のURLを指定できる

リスティング広告では、広告のリンク先となるページをURL単位で指定することが出来ます。

一方で、自然検索の検索結果ではリンク先となるページを指定することは出来ません。

指名検索であったとしても、ユーザビリティにすぐれないページに遷移してしまったり、自分の目的とそぐわないようなページに遷移してしまった場合は、その後のアクションをあきらめウェブサイトを離脱してしまいます。

リスティング広告を活用することで、ユーザビリティに優れたランディングページへ誘導することが出来ます。

⇒ランディングページとCVRについてもっと知りたい方はコチラを参照ください。
ランディングページのコンバージョン率(CVR)を改善するためには

③リスティング広告で指名検索キーワードを出さないほうがいい場合

指名系キーワードでのリスティング広告は基本的に出した方が良いですが、出さない方が良い場合もあります。

◆事業が多岐にわたりサービスが1つではない場合

事業のサービス内容が多岐にわたり、同じブランド名でも様々なニーズのユーザーが検索している場合は、1つのサービスのリスティング広告を出してしまうと、反ってユーザーにとっての利便性を阻害してしまうことになります。

例えばSonyのように、1つのブランドの中でテレビやオーディオ機器、スマートフォン、音楽、映画、さらには金融商品などを展開している場合、ユーザーの[Sony]という検索キーワードには、様々なニーズが含まれています。1つのサービスの広告が上位に表示されてしまうと、それ以外のサービスを求めているユーザーにとって利便性が悪いものになってしまいます。このような場合は、指名系キーワード単体での広告配信は望ましくないと言えます。

一方、[Sony ウォークマン]のように、製品名との掛け合わせキーワードの場合は、求められているサービスが限定されているので、広告配信をしたほうが良いといえます。このような場合は、商品名やサービス名など、ユーザーのニーズを限定できるキーワードをフレーズ一致絞込み部分一致などで追加しておくことで、リスティング広告の配信を制限することが出来ます。

④指名検索キーワードの配信で気を付けなければいけないこと

指名系キーワードでリスティング広告を出稿する場合には、いくつか気をつけなければならないこともあります。

◆社内スタッフのクリック

ウェブマーケティングを担当していない他部署の社員の方や、各店舗のスタッフなど、リスティング広告に携わっていない方ですと、広告と自然検索の検索結果という区別はあまりつきにくいかもしれません。ましてや、広告はクリックされるごとに課金されているということを知っているのはごく僅かな人たちだけです。

ブランド名で広告を出した場合、社内のスタッフが情報を調べるために広告をクリックしてしまう場合があります。このようなクリックが増えてしまうと、費用を圧迫してしまうことになりますので、できるだけ社内のスタッフの方には広告をクリックしないように周知しておいたほうが良いでしょう。

これに対して、IPアドレスなどの制限で、広告の表示を制限する方法もありますが、制限をした場合でも、個人用のPCやスマートフォンを利用すれば広告は表示されてしまいます。その為、リスティング広告の意図を理解してもらうことが最も確かな対処法といえるでしょう。

◆指名検索キーワードを他のキャンペーンでの除外

指名系キーワードと一般的なキーワードを分けて運用管理している場合は、一般的なキーワードのキャンペーンで指名系キーワードの除外登録をしておく必要があります。除外登録をしておかないと、一般的なキーワードで効果が良いと思っていたものが、実は指名系の掛け合わせを含んでいました、なんてことも起こり得るため正しく運用管理できなくなってしまいます。

⇒指名系キーワードの除外についてもっと知りたい方はコチラを参照ください。
リスティング広告の除外キーワードは何を設定すればいいの?

④まとめ

いかがでしょうか。今回は、リスティング広告で企業名やブランド名などの指名系キーワードをどのように扱うべきかについてまとめさせていただきました。

指名系キーワードでもリスティング広告を出稿することで、競合他社へ見込み客の流出を防止し、ユーザーへの利便性を高めることが出来ます。

リスティング広告はSEO対策と競合するものではなく、補完しあうものです。併せて活用することで、ユーザーの検索に対して効果を最大化していくことができるでしょう。

リスティング広告の効果的な活用方法でお悩みの際は是非ご相談ください。