広告運用に携わっていると、メディアや媒体という言葉をよく使うかもしれません。また、ウェブマーケティングの分析でGoogleアナリティクス(GA)を使用するようになると、「参照元/メディア」のように「メディア」という言葉を耳にすることもあるかと思います。
この「メディア」や「媒体」という言葉は、なんとなくその意味は理解できるものの、理解を曖昧なままにしてしまっている方も多いはずです。実は、広告代理店の方でも結構あいまいな定義で使っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、この《媒体》という言葉の定義をハッキリとさせておくことで、その後、いくつも登場してくる広告手法を理解しやすくなるかと思いますので、ぜひ一度整理をしておくとよいでしょう。
既に知っている方は、くれぐれも「媒体ってメディアでしょ。」と説明しないようにしてください。それは「リンゴってアップルでしょ」という説明とおなじですからね。
【目次】
- 媒体とは
- 広告業界でつかわれている「媒体」とは、2つの意味あいがある
- 広義の意味での媒体とは:情報伝達の手法による分類
- 狭義の意味での媒体とは:特定のウェブサイトやツール
- Googleアナリティクスででてくる《メディア》とは
- Googleアナリティクスのメディア
- まとめ
①媒体とは
突然かとは思いますが、インターネット広告の話しでよく聞く、この《媒体》とは何なのでしょうか。
《媒体》とは
「媒介するもの。伝達の媒介となる手段。メディア」
と広辞苑には記されています。
これだけではよく分かりませんので、次に《媒介》をしらべてみましょう。
《媒介》には
「双方の間に立って取り持つこと。」
と記されています。
つまり《媒体》とは、
『何かと何かの間にたって橋渡しをするモノ』
ということになります。
これを、インターネット広告に置き換えてみると、
『企業と生活者の間に立って、情報交換の橋渡しをするもの』
ということになるかと思います。
因みに、英語で表記すると“medium”もしくは複数形の”media“となります。
ですので、《媒体》も《メディア》も本来は同じ意味合いになります。
②広告業界でつかわれている「媒体」とは、2つの意味あいがある
広告業界で使われている「媒体」という言葉には、
・情報伝達の手法を表す広義の意味
・特定のウェブサイトやツールを表す狭義の意味
この2つの意味合いがあります。
◆広義の意味での媒体とは:情報伝達の手法による分類
1つめの広義の意味は、辞書で紹介されているような意味で「情報の橋渡しをする役目を持ったものの種類(タイプ)」を示しているものです。新聞、テレビCM、雑誌、リスティング広告、ディスプレイ広告など、大きなくくりで《広告媒体》という場合は、特定のテレビ局やウェブサイト名をさしているのではなく、その種類としての意味合いで用いているかと思います。
この広義の意味合いの場合には、リスティング広告であればGoogleもYahoo!も同じ検索エンジンを活用した広告になるので同じ《広告媒体》のうちの1つということになります。
◆狭義の意味での媒体とは:特定のウェブサイトやツール
もう1つめの狭義の意味は、自社メディアやオウンドメディアといった言葉のように、「特定のウェブサイトやツール」を指しての「媒体」です。
この狭義の意味合いの場合には、GoogleやYahoo!といったそれぞれの検索エンジンは別々の「媒体」になります。
インターネット広告に慣れ親しんでいない人にとってややこしいのは、広義の意味での「媒体」と狭義の意味での「媒体」が、同じようなフレーズの中で、同じ階層として用いられてしまっているからです。
③Googleアナリティクスででてくる《media:メディア》とは
ウェブマーケティングを担当すると、Googleアナリティクスというウェブ分析ツールを使うことがあるかと思います。そのGoogleアナリティクスは、インターネット広告を始めれば、後々に必ずといっていいほど登場するツールで、その中で《メディア》という設定項目がでてきます。
そんな時に、この《媒体・メディア》の意味をしっかりと理解しておかないと、
「メディアって、GoogleとかYahoo!とかの媒体ってことだよね…」
「” media”って日本語で媒体って意味だよね…」
となって、道に迷ってしまうかもしれません。
Googleアナリティクスでつかわれているメディアとは、「cpc」や「display」というように表されています。
ここでいうメディアとは、先ほど見てきた『広義の意味での媒体(メディア)』ということになります。
今すぐには使わなくても、後々必要な知識になってきますので、頭の片隅に覚えておくとよいでしょう。
・Googleアナリティクスのメディア
設定されているメディアには代表的なものは下記のようなものがあります。
- organic:検索エンジンを用いた自然検索(オーガニック検索)のことです。
- cpc:cost per clickの略で、クリック課金の有料検索広告を指します。
- display:ディスプレイ広告のことです。
- referral:リファラル。他のサイトからのリンクによる流入をあらわします。
因みに、「狭義の意味での媒体」をあらわす場合は、「参照元」という言葉が使われています。
Googleアナリティクスではこの流入元である「参照元」と「メディア」を掛け合わせて
「参照元 / メディア」というような形で分析することが出来ます。
例えば
Googleという検索エンジンを使った自然検索からのサイト流入であれば、
参照元 / メディア : google / organic
Googleという検索エンジンを使ったリスティング広告からのサイト流入であれば、
参照元 / メディア : google / cpc
というようにあらわされます。
Googleアナリティクスでは、もう一つ、このメディアを一括りにまとめた《 チャネル 》という階層がありますので、こちらも併せて理解しておくとよいでしょう。
④まとめ
「媒体」や「メディア」という言葉は、一般的な言葉なので、いまさら、「媒体って何ですか?」と人に聞かれることもあまりないかと思います。しかし、だからこそ、その場その時で使われている意味合いが変わってしまい、余計に混乱しやすくなっているのかと思います。
インターネット広告の世界では、次から次へと新しい広告媒体や広告手法が生まれてきて、それらすべてを理解していくだけでも大変な作業になっている方も多いかと思います。そんな時、この《媒体》という言葉の意味を理解しておくことで、それら広告媒体を体系的に整理することが出来ます。《媒体》という言葉の意味の理解は、一つ一つの媒体(狭義の意味での)の本質的な理解にもつながり、その後のマーケティングに対する理解そのものを深めることにもきっと役立つでしょう。
最近では《トリプルメディア》という考え方も注目されており、メディア・媒体の理解がますます欠かせないものとなってきています。
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トリプルメディアとは?わかっているけどなかなか活用できないメディア戦略
《媒体》の意味を正しく理解し、今後のマーケティング戦略に役立て頂ければと思います。