webマーケターが持つべき相手の《検索リテラシー》という視点

Googleが標準装備され、何かわからないことがあれば直ぐGoogle検索をするデジタルネイティブ世代にとっては、検索すれば自分の求める情報に辿り着くことが当たり前になっているかと思います。ですが、ちょっと立ち止まって思い起こしてみてください。

「あれ?あのCMってどこの会社のだっけ、検索しても出てこない・・・」
「この前みた商品のページがなかなか見つけられない」
「なんとなく欲しい商品はあるけど、これだという商品がない・・・」

このように、
Googleで検索してもなかなか自分が思っているものが見つからない・・・
なんてことは意外と多くあるのではないでしょうか。

実はそれ、検索リテラシーが低いのかもしれません。

今回は、普段はあまり意識されていない検索リテラシーの重要性についてまとめてみました。
実は、自らがデジタルネイティブであるウェブマーケティングの担当者であっても、この検索リテラシーを意識している方はそんなに多くありません。また、検索リテラシーを知っている=検索リテラシーが高いというわけでもありません。

しかし、マーケティングにとって相手の検索リテラシーを考えることは非常に重要であり、インターネットが顧客獲得のための重要な経路になっている場合は改めて相手のリテラシーを意識してみると良いでしょう。

もしかするとこれまで置き去りにされていた顧客層が見つかるかもしれません。

【目次】

  1. 検索リテラシーとは
    • ITリテラシーとの違い
    • 検索リテラシーの定義
  2. 検索リテラシーが低いユーザーは常に一定層いる
    • 鍵となる語句が間違っていれば目的の情報にはたどりつけない。
  3. 検索連動型広告(リスティング広告)では部分一致を活用する
  4. まとめ

➀検索リテラシーとは

このブログを読んでいる人の中には、検索リテラシーという言葉を初めて聞いたという方もいるのではないでしょうか。

あまりなじみのない言葉ですが、

検索リテラシーとは、検索エンジンを上手に使い、ある情報に辿り着くための基礎能力

のことです。検索エンジンを使い、自分が求めている情報にスムーズにたどり着ける人のことを「検索リテラシーが高い」というように表現したりします。

リテラシーとは、もともと読み書きができる能力(識字力)のことを指し、発展途上国の識字率の問題などのように、文字を理解し使用することができる能力のことでした。近年では、「メディアリテラシー」や「情報リテラシー」のように「○○リテラシー」と造語となって、あるものを正しく理解し使いこなせる能力をさす言葉として使われるケースが多くなっています。

◆ITリテラシーとの違い

検索リテラシーと似たような意味合いの言葉に、「ITリテラシー」という言葉があります。
ITリテラシーは検索リテラシーの上位概念ともいえるものです。

ITリテラシーとは、IT(情報技術:Information Technology)の機能や仕組みを理解し、その場の問題や課題に対して適切に使いこなすことが出来る能力のことを指します。

2017年には厚生労働省から

『平成29年度基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告』

という報告書が公表されており、IT業界だけでなく、様々な業界でのITリテラシーを高めていくとこが求められていくことになりました。

ちなみに、この報告書の中でITリテラシーは下記のように定義されています。

“引用”

現在入手・利用可能な IT を使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆる IT 企業で働く者だけでなく、IT を活用する企業(IT のユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。

具体的には、

1. 世の中にどのような IT があり、それぞれどのような機能・仕組みを有しているか、どのような場面で活用されているかについての理解。

2. 企業・業務の課題解決場面に有用な IT を選定し、その IT を操作して目的に適う情報を取得・分析・表現し、課題解決に繋げる能力。

3. IT を安全に活用するための情報セキュリティやコンプライアンスの知識。

参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/hellotraining/kisoteki_it.html

この定義にあるように、ITリテラシーは全てのビジネスパーソンが情報技術に対して標準的に装備している基礎能力ということになります。

検索リテラシーはこのITリテラシーに含まれる概念と言え、情報技術の一部である検索エンジンを如何に使い課題解決に役立てることが出来るかという能力と言えます。

◆検索リテラシーの定義

ITリテラシーの定義を置き換えることで、検索リテラシーを下記のように定義することが出来るでしょう。

  1. 検索エンジンがどのような機能・仕組みを有しているかについての理解。
  2. 個々の課題解決場面に有用な検索語句を選定し、
    その検索エンジンの操作で目的に適う情報を取得・分析・表現し、課題解決に繋げる能力。
  3. 情報取得者側からの観点だけでなく、情報発信者側がどの様な工夫をして情報を発信しているか、
    SEO(検索エンジン最適化:Search Engine Optimization)に関する基礎的な知識。

検索リテラシーもITリテラシーと同様に、すべての検索エンジンユーザーが標準的に高められていることが望ましい基礎能力といえるでしょう。

②検索リテラシーが低いユーザーは常に一定層いる

検索リテラシーが高いユーザーは、検索エンジンを使って自分が求める目的の情報に到達することがスムーズにできますが、検索リテラシーが低いユーザーは、自分が求める目的の情報になかなか到達することが出来ません。

重要なのは、この検索リテラシーの低いユーザーはある一定層いるということです。

検索エンジンの仕組みは、検索窓に入力された検索語句に対して、その検索語句と関連性が高いページ(情報)を媒体独自のデータベースから導き出して検索結果を返しています。

ウェブマーケティング担当者であれば、検索エンジンの仕組みをある程度理解されている方が多いので、ユーザーの検索語句に対して、どのようなコンテンツの受け皿を用意すればよいのか、どのような内容のランディングページを用意すればよいのかイメージすることは可能です。ですがこれは、検索結果の目的となる情報から逆算して検索語句を考えているため、ユーザーの検索リテラシーを考慮してウェブマーケティングの導線設計をしているとは言えません。

ウェブマーケティングに携わったことのない一般の生活者にしてみれば、検索エンジンがどのような仕組みで、検索語句に対してどのようなウェブページが表示されるのかをイメージすることは難しいでしょう。

◆鍵となる語句が間違っていれば目的の情報にはたどりつけない。

検索エンジンは、検索語句に対して検索結果を返しているため、一人ひとりのニーズに対して求めている情報を返しているわけではありません。そのため、ユーザーの検索語句によっては、検索結果に自分の求めている情報が出てこない場合もあり、中には、自分自身の求めている目標になかなか辿り着けず諦めてしまうユーザーも出てきてしまうということになります。

このように、検索エンジンを利用しても求めている情報になかなかたどり着けない場合は、検索エンジンの仕組みを理解しているかどうかというよりも、検索している語句に問題がある場合がほとんどです。

ユーザーが自分自身のニーズを正しく言語化できているかどうかが、自分自身の求めている情報を的確に検索エンジンから導き出すための鍵(キー)といえます。

鍵(キー)となる語句(ワード)が間違っていれば、自分が求めている検索結果にはたどり着くことはできませんよね。

マーケティング担当者が、自社のウェブマーケティングを考えていく際によく見落とされがちなこの事実に気づくことで、現在リーチできていない顧客層(ユーザー側からリーチすることが見落とされている顧客層)を発見することができます。

ウェブマーケティングを考える際は、相手の検索リテラシーの度合いに視線を向け、一般の生活者側からどのような検索語句で検索をしているかを考えてみてください。

③検索連動型広告(リスティング広告)では部分一致を活用する

リスティング広告を活用する場合は、部分一致のマッチタイプを活用することで、マーケティング担当者の思い込みに縛られない検索語句に対して広告出稿をすることが可能になります。

リスティング広告には、完全一致、フレーズ一致、部分一致という3つのマッチタイプがあります。

⇒リスティング広告のマッチタイプについて、もっと詳しく知りたい方はコチラを参照ください
検索連動型広告《リスティング広告》のマッチタイプが分からない…

完全一致、フレーズ一致では、マーケティング担当者が設定したキーワードと完全に一致する場合、もしくはそのキーワードを含む語句が検索エンジンで検索された場合にリスティング広告が掲載されます。逆の言い方をすれば、完全一致とフレーズ一致では、設定されていない語句で検索された場合には広告が掲載されることはありません。つまり自社のサービスを知らないユーザーが、そのサービスを利用する可能性のある顕在顧客であったにもかかわらず、検索リテラシーが低く予期せぬキーワードで検索をしていた場合は広告を表示することが出来ません。

このような場合に役に立つのが部分一致というマッチタイプです。

部分一致では、キーワードの語句そのものと一致しているかどうかではなく、キーワードに関連しているかどうかで拡張性が判断されています。つまり、ユーザーの検索語句が設定したキーワードに関連していれば、広告を配信することができるので、「部分一致は意味による拡張」ということもできます。

また、部分一致のマッチタイプではユーザーの直近の検索アクティビティもユーザーの情報として考慮されており、過去の検索履歴などから判断して、関連性が高いと判断されれば広告を配信することが出来るため、ユーザーが自分自身の検索ニーズを適正に言語化できていない場合に対しても、広告の表示機会を拡大していくことが出来るといます。

リスティング広告を利用する際は、ユーザーが自分自身のニーズを正しく言語化できていないことがあることを念頭に置いて、部分一致のマッチタイプを設定するとよいでしょう。

④まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は検索リテラシーについてまとめさせていただきました。

普段はあまり意識することのない検索リテラシーですが改めて意識するとマーケティングの見方が変わるのではないかと思います。

上段で紹介した、検索リテラシーの定義を改めて振り返ってみると下記のように言い換えることが出来ます。

  1. 検索エンジンの機能や仕組みの理解。
    ⇒文字通り、GoogleやYahoo!がどのように検索結果を出しているかという理解。(SEOの領域)
  2. 個々の課題解決場面に有用な検索語句を選定する能力。
    ⇒課題や目的を抽象化し言語化する能力。
  3. 情報発信者側がどの様な工夫をして情報を発信しているかという理解。
    ⇒1のSEO領域と似ていますが、情報は情報発信者がSEO対策をして発信しているという理解で
    検索結果に関する、情報リテラシーやメディアリテラシーと同質の理解。

検索リテラシーが高いユーザーとは、これら3つの能力が備わっているユーザーのことをさします。特に1と2の基礎能力は、個々の課題解決場面に最も影響する能力です。しかしながら、すべての検索エンジンユーザーがこの能力に長けているわけではありません。

検索エンジンをウェブマーケティングに活用したいウェブマーケターの方は、このような検索リテラシーの低いユーザーがいることを改めて意識することで、これまでお互いにリーチすることが出来ていなかった顧客層を新たに発見できるかもしれません。是非参考にしていただければと思います。